金融庁はFX(外国為替証拠金取引)の規制強化策を議論するため、2月13日に店頭FX業者の決済リスクを議論する有識者会議を立ち上げたそうだ。
日本経済新聞によれば、個人投資家のレバレッジ(証拠金倍率)を現行の25倍から10倍に引き下げ、外国為替相場が急変動した際に個人投資家や業者が想定を超える損失を抱えるリスクを減らすことを検討するらしい。
レバレッジはトレーダー(個人投資家)がFX業者に預けた証拠金の何倍まで取引できるかを示すが、10倍に引き下げたからと言って、想定外の損失を抱え込むトレーダーが無くなるわけではない。
却ってレバレッジを10倍ギリギリまで掛ける事が横行し、通常の相場時でさえ損失を抱え込むトレーダーが増加するのはないか。
◆金融庁が規制しない高リスク商品
投資家保護のために本来規制すべき高リスク商品を、金融庁は野放しにしている。企業優遇のために?
例えば、過度な乱高下を繰り返して荒れる「ビットコイン」。
例えば、たった一晩で価格が96%も暴落した「野村のVIXベアETN」。
日本経済新聞「恐怖指数の関連商品、価値が一晩で96%消滅 ボラティリティーが揺らす市場(下)」記事によれば、
「落ち着いた値動きに慣れきっていた市場を襲った突然の価格変動は、ある特殊な金融商品の価値をほぼ全損させた。」
「借り入れでレバレッジを掛けたり、市場と逆の動きをしたりするETFやETNは通常の商品とは異なると明記する規制を導入すべきだ」 とある。
個人投資家を餌食に、企業保護を優先する金融庁の二枚舌(ダブルスタンダード)政策がありありではないか。
◆金融庁の標的は ミセス・ワタナベ?
相場の流れに逆らう逆張り戦略で円売り・ドル買いの持ち高を増やしてきた、FX取引を手掛ける個人投資家「ミセス・ワタナベ」に変調の兆しが表れている。急速な円高・ドル安で一部は含み損を抱え、損失を限定する円買いに動き始めた。円高加速を招いたり円安への戻りを抑えたりする要因にもなりかねない。
と、2月19日付け日本経済新聞が伝えている。
政府は前々から、ドル円相場を揺るがす(=政府の思惑通りに事が運ばない)「ミセス・ワタナベ」を忌々しく思っていた感がある。
○FX取引のレバレッジを25倍から10倍に引き下げる規制強化で、投資家保護の名の下に、意図しないミセス・ワタナベの影響力を極力削ぎ落としにかかっているというのが本音なのではないのか。