2020年3月アーカイブ

今週末(3/19)時点の日経平均株価の終値は16552.83円だったが、アベノミクスのせいで買い込んだETF(上場投資信託)の評価は約4.2兆円の含み損となった。

日本経済新聞によれば、

日銀の黒田東彦総裁は10日の参議院財政金融委員会で、日銀が保有している上場投資信託(ETF)について、株高局面でも購入を継続した結果、保有ETFの時価が簿価を下回る「損益分岐点」が切り上がり、日経平均株価で1万9500円程度になっている可能性があると答弁した。

黒田総裁によると、昨年10月以降、日銀が購入したETFは2兆442億円。2019年9月末時点の保有状況を前提にすれば、損益分岐点は1万9000円程度だが「(昨年10月以降の)ETF買い入れの実績等を用いてラフに計算すると、19年9月末時点と比べて500円程度切り上がっている可能性があると思うが、これは正式な数字ではない」と話した。

なので、19500円を割り込むと含み損の状態になる可能性があるという事だ。そして、

18日の参議院財政金融委員会の答弁では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急速な株安で大量の上場投資信託(ETF)を買い入れている日銀の含み損が「2兆~3兆円」に達しているとの試算を示した。

黒田総裁は保有ETFの含み損益について、「日々の市場動向で大きく左右され、幅を持ってみる必要がある」とも話した。

つまり、含み損は損切りしなければ損失ではない、という事か(その内、含み益になるだろう、って?)。


◆ETFの始まりは、第30代日本銀行総裁の白川方明氏だが

平成22年、白川日銀総裁は、株式市場のリスクプレミアム縮小を目的としてETFの購入を年間4500億円を目処に開始した。

即ち、株式投資はリスクが大きいが、日銀がETFを買い入れる事でリスクを小さくし、庶民の投資行動を活発化させようという事らしい。

日銀が株式市場に「介入」することへの批判に対して、白川総裁は在任中、深刻なデフレと株安に対処する「緊急措置」であることを強調していた。

★株購入は中央銀行による禁じ手

平成25年3月、第31代日銀総裁に黒田氏が就任し、4月から始まった「異次元金融緩和(黒田バズーカ砲)」で、買い入れ金額は年間1兆円に増額され、平成26年年10月の追加金融緩和で年間3兆円、平成28年年7月には現在の年間6兆円、令和2年3月には12兆円にまで引き上げられた。

日銀は、ETFの買い入れの目的を、「株価の上昇は、資産効果などを通じて個人消費を押し上げる他、企業の資金調達環境やマインドの改善によって設備投資を促すことが期待できる」としている。

しかし、先進国の中央銀行で「インフレ目標」に到達するための金融緩和を目的に、ETFを購入した中央銀行は皆無。

株式市場では「TOPIXの下落率が0.5%以上になると、午後1時頃に日銀のETF買いが期待できる」とされており、日銀は国債と株式の市場機能を壊滅状態に追い込んだ。

令和2年3月上旬時点の日銀のETFの保有残高は約28.3兆円、持ち値は約19500円となっている。

★日銀の債務超過懸念

令和2年3月11日、WHO(世界保健機関)が、世界同時株安を引き起こしている新型コロナウイルス「COVID-19」のパンデミック(世界的大流行)を宣言したことで、日経平均株価は19500円を割り込んで「弱気相場」入りしており、日銀の赤字決算や債務超過懸念が高まりつつある。

日銀の自己資本(資本勘定+引当金勘定)は、令和元年9月末で約9.3兆円となっている。日銀の会計ルールでは、ETFの時価が簿価を下回ると、その差額を引当金として計上することで、実際に売却しなくても、自己資本が減る要因になる。

日経平均株価19500円が損益分岐点なので、1000円の下落で約1.4兆円の評価損が増える事になり、16500円で約4.2兆円、債務超過となる水準は13300円付近となる。

日本銀行の株価は債務超過懸念なのか、バブル期の高値755000円から35年ぶりに30000円を割り込んだようだ。


◆3月16日にETFの購入枠を6兆円から12兆円へ倍増

日銀の赤字決算や債務超過懸念が高まる中、MMT(現代金融理論)や雨宮日銀副総裁の「日銀は自らが円を発行し、日銀券を刷り続けられるため、債務不履行には陥らない」との言を盾に、倍増ペースで買い入れを開始した黒田日銀。

日銀券を際限無く印刷する事やMTT理論の実証実験など、先進国の中央銀行では日本銀行以外に例が無い。

日銀のETF評価損
・17500円で、2.8兆円
・13500円で、8.4兆円
・13000円で、9.1兆円(債務超過水準)

★一定の下落率まで株価が下がったら日銀が買い支えに入る
これが分かっているから投資家は、売り浴びせで日銀の買い支え、再び売り浴びせと繰り返すだけで、海外の投資家(勿論、国内も)は資産の拡大膨張を図ることが可能。

★世界で唯一、株に金を突っ込みまくる中央銀行。それが通貨の番人と呼ばれる日銀
★16500円程度まで下がれば 、その含み損は4兆円を超え、日銀は実質的な「債務超過」に陥る

★日本銀行の都市伝説
日本銀行が保有国債の暴落などで債務超過に陥った場合、借用証書である日本銀行券の信用は失墜するために円は暴落する、と言うもの。債務超過は民間で言えば倒産。そんな中銀が発行する通貨など世界中の誰も欲しがらないから円通貨危機勃発??


◆来週から、日経平均株価が暴騰する事を、神様仏様に祈ろう!!!

12日のニューヨーク株式市場は、呆れ返るほどの急落で取引を終えた。ダウ工業株30種平均は前日比2352.6ドル安の21200.62ドルと、約2年9ヶ月ぶりの安値だった。

もう書き飽きたけど下落幅は過去最大を再更新、下落率は1987年10月19日のブラックマンデー以来の大きさとなった。昨夜も、全ての株式売買を一時中断するサーキットブレーカーが発動したらしい。

株価はトランプ米大統領の経済政策に対する通知簿だからね。新型コロナウィルス(武漢)肺炎の感染拡大に託けて、破裂寸前だったQEによる飽金(金余り)バブルを弾けさせたんじゃないの~、って勘繰りたくなるよね。

トランプ米大統領の失政による瑕疵は問われないもんねぇ~。

----------------------- 追記 ------------------------
いやートランプさん、思惑通りのガス抜き、ドンピシャリと嵌ったかな。NYダウが1985.0ドル高と過去最大の上げ幅で、終値23185.62ドルで13日の取引が終わったもんね。

政権内は誰も傷まず、新型肺炎に責任を擦り付けて、まんまとジャブジャブの金余りバブルのガス抜き、上手くいったようだ? それとも未だ未だ?

最高値からの下落率21.54%は正しく景気後退局面入りだけど、ここから株価を再度押し上げたら、米大統領再選は決まった様なもん・・・?
---------------------------------------------------

仕方ない、新記録達成だからね、史上最高値からの表でも作るか。

気になるNY市場の新記録達成と騰落状況
日付NYダウ ナスダック 原油
価格($)幅  ($)率(%) 価格($)幅 ($)率(%) 価格($)幅 ($)率(%)
2/12 29551.42 ---- ----   9725.96 ---- ----   51.17 ---- ----
2/13 29423.31 -128.11 -0.43   9711.97 -13.99 -0.14   51.42 0.25 0.49
2/14 29398.08 -25.23 -0.09   9731.18 19.21 0.20   52.05 0.63 1.23
2/18 29232.19 -165.89 -0.56   9732.74 1.56 0.02   52.05 0.00 0.00
2/19 29348.03 115.84 0.40   9817.18 84.44 0.87   53.29 1.24 2.38
2/20 29219.98 -128.05 -0.44   9750.97 -66.21 -0.67   53.78 0.49 0.92
2/21 28992.41 -227.57 -0.78   9576.59 -174.38 -1.79   53.38 -0.40 -0.74
2/24 27960.80 -1031.61 -3.56   9221.28 -355.31 -3.71   51.43 -1.95 -3.65
2/25 27081.36 -879.44 -3.15   8965.61 -255.67 -2.77   49.90 -1.53 -2.97
2/26 26957.59 -123.77 -0.46   8980.77 15.16 0.17   48.73 -1.17 -2.34
2/27 25766.64 -1190.95 -4.42   8566.48 -414.29 -4.61   47.09 -1.64 -3.37
2/28 25409.36 -357.28 -1.39   8567.37 0.89 0.01   44.76 -2.33 -4.95
3/2 26703.32 1293.96 5.09   8952.16 384.79 4.49   46.75 1.99 4.45
3/3 25917.41 -785.91 -2.94   8684.09 -268.07 -2.99   47.18 0.43 0.92
3/4 27090.86 1173.45 4.53   9018.09 334.00 3.85   46.78 -0.40 -0.85
3/5 26121.28 -969.58 -3.58   8738.59 -279.50 -3.10   45.90 -0.88 -1.88
3/6 25864.78 -256.50 -0.98   8575.62 -162.97 -1.86   41.28 -4.62 -10.07
3/9 23851.02 -2013.76 -7.79   7950.68 -624.94 -7.29   31.13 -10.15 -24.59
3/10 25018.16 1167.14 4.89   8344.25 393.57 4.95   34.36 3.23 10.38
3/11 23553.22 -1464.94 -5.86   7952.05 -392.20 -4.70   32.98 -1.38 -4.02
3/12 21200.62 -2352.60 -9.99   7201.80 -750.25 -9.43   31.50 -1.48 -4.49


◆気懸りなのは、「翌日物レポ取引」と呼ばれる銀行間融資市場の悪化拡大と社債市場の金利急上昇だ。

日本経済新聞によれば、

米社債市場でも動揺が強まっている。景気悪化を警戒し、特に低格付け企業の社債が売られ、金利が急上昇している。原油価格の急落も相まって、エネルギー関連企業の社債利回りは20%を超える例も頻発。市場では将来の資金繰り悪化への懸念が増えている。

らしいが、債券破綻保険のCDS指標が急騰(保険料率が急上昇)した事には触れていない。

★サブプライム問題やリーマンショックなどの臭い物には蓋をしろ感覚???

レポ市場は、国債などを担保に民間銀行同士が短期資金を融通し合う市場だが、銀行間の「相互信用」が消失しかかっているのでどの銀行も貸し出ししたがらず、その資金(貸さなくなった分)を米連銀が貸し出す「レポ介入」を昨秋から実施していた。

これも日本経済新聞によれば、

米連邦準備理事会(FRB)は12日、短期金融市場に2日間で1兆5千億ドル(約158兆円)規模の追加の資金供給を実施すると決めた。短期債に限っていた米国債の買い入れも対象を拡大し、事実上の量的緩和政策の復活に近づく。新型コロナウイルスによる景気不安の高まりでドル資金の逼迫感が強まっており、異例の大量の資金供給で市場の安定を急ぐ。

FRBは資金需要が一時逼迫した2019年秋以降、短期金利を安定させるためレポ取引で金融調節を進めてきた。通常は翌日物なら1000億ドル、2週間物であれば200億ドルを上限としてきたが、市場の混乱が強まった12日には翌日物の供給量を1750億ドルに引き上げていた。2日間で1兆ドルを超す資金供給は極めて異例で、金融市場でドル資金が逼迫していることを示している。

と記している。

★相互信用の消失で極度の資金難(流動性の枯渇)に陥った中小銀行の倒産危機???

昨日9日のニューヨーク株式市場ではダウ工業株30種平均が暴落し、前週末比2013.76ドル安の23851.02ドルで取引を終えた。

ニュースによれば、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な景気後退懸念が広がり、1日の下げ幅としては2/27に記録した過去最大を大幅に更新し、新たな過去最大の下げ幅となった。

S&P500指数が7%超急落して取引が一旦停止されたが、15分後下げ幅を拡大して取引を再開。株価急落に備えた取引の一時停止措置(サーキットブレーカー)が発動されるなど、世界の金融市場の混乱は底無し感を強めたようだ。

制度改正され2013年に新ルールが適用された「サーキットブレーカー」が発動されたのは、現行制度下では今回が初めてらしい。

NYダウと日経平均の騰落幅&騰落率
日付NYダウ 日経平均
価格(ドル)騰落幅(ドル)騰落率(%) 価格( 円 )騰落幅( 円 )騰落率(%)
2/26 26957.59 ---- ----   22426.19 ---- ----
2/27 25766.64 -1190.95 -4.42   21948.23 -477.96 -2.13
2/28 25409.36 -357.28 -1.39   21142.96 -805.27 -3.67
3/2 26703.32 1293.96 5.09   21344.08 201.12 0.95
3/3 25917.41 -785.91 -2.94   21082.73 -261.35 -1.22
3/4 27090.86 1173.45 4.53   21100.06 17.33 0.08
3/5 26121.28 -969.58 -3.58   21329.12 229.06 1.09
3/6 25864.78 -256.50 -0.98   20749.75 -579.37 -2.72
3/9 23851.02 -2013.76 -7.79   19698.76 -1050.99 -5.07


◆気懸りなのは、新型コロナウイルスの影響が世界各国の実体経済に影を落とし、投資家心理が冷え込み、世界同時不況の織り込みが加速する事だ。

FBRが定めるFFレートは、3/3に0.5%の緊急利下げを実施したので1.0%~1.25%となっているが、
9日時点の米国債の利回りは、
 2年債が0.391%
10年債が0.544%
30年債が1.005%
となっている(明らかに異常?)。

それに原油。サウジアラビアの離反や需給悪化(=景気悪化)などの要因から、原油相場は1バレル41.28ドルから31.13ドルへ、24.59%の急落となった。

★原油が下落すると日本はウハウハだが、この感じ、どっかで何時しか見たり体験したりした事はないかな? そう、ブラックマンデー前後って、こんな感じじゃなかったかな(様な気がする)。

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