2018年12月アーカイブ

従来、世の中の景気が悪化し不況に突入すると(各国の)中央銀行は、世間の金回りを良くして企業間の取引を活発にするために金利を下げ、世の中のお金の量(マネーストック)が増えるように金融緩和政策を取ってきた。


◆FRB(米連邦準備制度理事会)の非伝統的政策、量的金融緩和政策-QE:Quantitative Easing

リーマンショック後の米国では金利をほぼゼロに近い状態まで下げてしまっていたため、これ以上金利を下げることが出来ずに非伝統的方法として、(金利の引き下げではなく)市中銀行が保有するFRBの当座預金残高量を拡大させる金融政策に手を出した。

それが2008年9月のリーマンショックを契機として実施された、QEと呼ばれる非伝統的量的金融緩和政策だ。

当時のFRBは深刻な景気後退への対策として巨額の資金を市中に供給するため、米国債やMBS(住宅ローン担保証券)等を大量に購入して市中に資金を大量供給した結果、財務状態を表すバランスシートが急膨張してしまた。


◆FRBの量的金融引締政策-QT:Quantitative tightening

景気が上向いたように見えたとしても、QEをいつまでも続けることは出来ない。経済活動(企業や国民生活)に甚大な損害を与えることになる可能性が潜んでいるからだ。

だから無作為の罪を罰せられる米国では、QTと呼ばれる量的金融引締政策が実施された。

米連邦準備制度理事会のバランスシート
出来事バランスシート損益
2008年 リーマンショック以前 約0.9兆ドル
2008年11月 量的金融緩和を開始
2014年10月 量的金融緩和の終了 約4.5兆ドル 含み益
2015年12月 量的金融引締を開始 含み益?
2017年10月 バランスシート縮小を開始 約4.2兆ドル 含み益?
2018年09月 含み損の確定 約4.1兆ドル 含み損
2019年12月 実損の見込み 約3.7兆ドル 含み損拡大


バンバン金融緩和を行って株価や債券の価格が上昇し、FRB(中央銀行)のバランスシートに保有証券の含み益が計上されている内は良かったのだが、一旦金融引締め政策が実行されるや株価や債券が下落して、バランスシート上の保有証券に含み損が発生し、債務超過に陥っていることが判明したのだ。

2018年9月時点の「含み損」665億ドル、「純資産」391億ドル。


◆日本銀行のバランスシートは現時点でも目を覆うばかり

日銀のバランスシートは11月時点で553.6兆円となり、本年度第1四半期のGDP(名目国内総生産)552.8兆円を上回った。返済する当ての無い借金は膨れ上がる一方だ。

本当に日銀のインフレ目標2%に近付いた場合、金利急上昇に伴い日本国債は急落、東京株式市場も暴落する事だろう。それは可能性などと言う生半可なものではなく、米国の状況を遥かに超えた大惨事となる事は火を見るよりも明らかかも?

日本銀行が債務超過を越えて、破産に陥らない事だけは祈りたい!

★経済学に疎いので、「縮小の終盤FRBのバランスシート:それを決するがFRBの債務である可能性」(https://www.cmegroup.com/ja/education/featured-reports/the-end-game-for-shrinking-the-feds-balance-sheet.html)の内容を良く理解出来なかったが、米国だけでなく日本も危機に陥りそうだという事は十分感じられた。

端からFTAの日米自由貿易協定しか眼中に無かったトランプ米大統領。しかし、本当のことを知られたくない安倍晋三首相と日本政府は国民を欺くために、2国間のFTAでは無く日米貿易協議だと嘘を付いていたのが今春。

米中間選挙前の秋口、トランプ大統領は韓国にFTA再交渉で為替条項を呑ませた様にカナダ・メキシコ両国に圧力を掛け、ディール(取引)に応じさせてNAFTA(北米自由貿易協定)の協定見直しでも為替条項を呑ませた。

日本は従来、景気対策のために金融緩和策を続けた結果として円安になったと主張してきたが、日米両政府は為替介入を始めとする意図的な通貨安誘導を禁じる為替条項の導入を巡って協議する見通しであることが明らかになった。

貿易赤字削減を最重要課題に掲げるトランプ米政権は、ドル高阻止に向け他国の為替政策への介入を本格化させており、遂に日本も標的となった格好でトランプ流の交渉術に抗うのは容易なことではない、などのニュースが流れた。

そして今朝、USTR(米通商代表部)が10日開いた公聴会で、米自動車政策評議会が日本の自動車メーカーの輸出が有利になる通貨安への為替操作を防ぐべきだと強調し、対日貿易協議で為替条項の導入が必要だとの認識を示した。また米車の日本への輸出拡大に向け、日本に非関税障壁(安全認証や環境基準の厳格化など)の撤廃を求めるべきだと指摘。

農業分野でも米国の業界団体はUSTRに、関税の早急な引き下げが不可欠と強調するとともに、米国産牛肉や豚肉、穀物、乳製品向けに市場を一段と開放するよう日本に求めることを要請したと言うニュース。

来年1月にも始まる日米貿易協定交渉。安倍政権は国内向けにFTA(日米2国間の自由貿易協定)ではないと強弁してきたが、トランプ大統領相手に何処まで通用するのか、しないのか。日本の国益(農業分野)を死守できるのかどうか。

嵐の前の静けさではない事を祈ろう!

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