日本経済新聞は、輸出企業(特に大企業)に有利に働く「株高=円安」の構図を、個人と素人の投資家に刷り込みたくて仕方がないらしい。
輸出企業が大儲けしても、日本国内には何ほどの恩恵もない(潤わない)のに。何てったって、あのアベノミクスの柱の半分はトリクルダウン=大企業の儲けを中小零細企業や国民に滴り落ちるようにしてやる、だからね。
◆日本国内が潤うには、何と言っても「株高=円高」で内需関連企業が儲からなければ話にならない
11/15付けの記事「株安=円高に身構える市場」では、
対ドルの円相場が膠着する中、じわりと高まっているものがある。将来の為替相場を予測する通貨オプション市場から導かれる予想変動率(IV、インプライド・ボラティリティー)だ。株高で円安が進まなかった時とは対照的に株安で円高が進むリスクへの警戒は強まっている。
と円高がリスクだと嘯いている。そうかな? 庶民には円高の方が恩恵があるだろ。
11/8付けの記事「ドル売り越しが招く円安、個人、持ち高調整で身軽に」では、
FX(外国為替証拠金取引)を手掛ける個人がドルの売り越しに転じた後は、寧ろ円高が進み難くなる。為替市場の「法則」だ。ドル買いポジション(持ち高)の整理で身軽になった個人が、改めて買いを始めるためだ。FX投資家は先週、約11ヶ月ぶりにドル売り越しに転じたが、法則通り足元で円の上値は重い。年末にかけ円安基調との見方も増えてきた。
と書いている。本当にそうかな? 円高基調になることを知っていて隠してないかな。
11/14付け記事「動かぬ円相場 リスクは溜まる」では、
ドルに対する円相場が膠着感を強めている。先週は1ドル=114円台後半から113円に迫る水準まで比較的大きく動いたが、10日以降は113円台半ばとほぼ横ばいで推移している。取引が低調な訳ではなくドル買いと円買いの力が均衡しているからだ。綱引きがどちらかに傾いたとき、円相場が再び大きく動くリスクは高まっている。
円を大幅に売り越しているのは投機筋だ。米商品先物取引委員会(CFTC)によるとシカゴ・マ...
と書いたように、ヘッジファンドが跋扈して円安に傾けようとしていることを知っている。
◆本邦勢はどうなのか?
10/31付け記事「逃げるミセス・ワタナベ、ドル離れ加速」では、
FX(外国為替証拠金)取引にある異変が起きている。個人投資家「ミセス・ワタナベ」はドル・円取引を主戦場としてきたが、ここに来て持ち高が急速に萎んでいる。代わりに、売買を増やしているのがトルコリラなどの高金利通貨。足元で個人による円売り・ドル買いの力、円安への力が弱まってきた。
と書いている。
英国のEU離脱や米トランプ大統領の誕生で、大きな痛手を負いはしたが、これまで個人投資家の「ミセス・ワタナベ」はヘッジファンドの数々の挑戦をはね除けてきた。
主戦場のドル・円相場から撤退しつつあるミセス・ワタナベの穴を、誰が埋めると言うのだろうか。これは円高ドル安に傾く大きな要因と成り得る。(期限が付いて回るヘッジファンドとは大違いなのだから)
◆投機筋は年末に向けて、大きく膨らませたドル買いポジションの解消に迫られるだろう。大きな利益を(当然)期待する彼らの顧客のために。