日本のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)版「日本経済新聞」の記事によれば、昨年末(2016年末)時点での米国債保有額が日中で逆転し、9年ぶりに日本が首位となったようだ。
リーマン・ショック(2008年)以降、毎年末時点の米国債保有額トップを中国が維持してきたのが余程お気に召さなかったのか、日米中の米国債を巡る"三角関係"が変わりつつあると大喜びで伝えていた。
◆経済分野を米国に差し出す?
昨年の日米会談に続き、今年の日米首脳会談でも、日本が米国債を売却することは許さないと、トランプ米大統領から安倍首相は釘を刺されたのではあるまいか。早期会談の実現と引き換えに。
何故なら、安倍首相は米国大統領選挙中に外交儀礼を無視した致命的なミスを犯したからだ。その代償は非常に大きいはずだ。
昨年末時点で日本の米国債保有額が増加していた訳ではない。米財務省発表の統計によると、前年末に比べて日本の米国債保有額は2.8%減らして1兆900億ドル余り、しかも2年連続での減少だった。
因みに中国は、人民元相場の急落を下支えするために"ドル売り元買い"の為替介入を繰り返し、保有額を大きく減らした上に爆買いも終了したとした。果たしてそうか?
FRB(米連邦準備理事会)は昨年12月に利上げに踏み切り、今年1月にはトランプ政権が発足して財政拡大への期待も高まった。しかもFRBの理事からは、今年3回の利上げが妥当との発言も聞かれた。
その結果、米国債の価格は大幅に下落、つまり日銀が秘かに恐れる利回りの急上昇が、海外発ではあるが現実のものとなった。
◆含み損は実損とは違う?
そのことについて日本のWSJ版「日本経済新聞」は、次のように述べていた。
「保有する米国債の価値が目減りするのを避けるために、中国が他の国の国債などに資金を移していた」とする指摘が金融市場では広がっていた。
一方、日本の保有額が中国に比べて微減に留まったのは、日銀が昨年1月に打ち出したマイナス金利政策の影響がある。困ったのは、日本の銀行や生命保険会社、年金など機関投資家だ。少しでも高い利回りを追い求め、縋ったのが米国債。米債を始めとする外債への投資意欲が旺盛になった。
しかし、米国債の価格下落が鮮明となった昨年後半以降、日本の金融機関の中には保有する米国債に含み損が発生しているところも少なくない。ただ、米国債を損切りして資金を引き揚げても、国内には運用益を見込める投資先は少ないことが悩みの種だ。
年金と言えば、債券と株式ともに米国に投資させられているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が頭に浮かぶ。
尖閣諸島は安保条約第5条の適用範囲だと明言する代償として、価格が急落している米国債を買い支え、弾けるかも知れない米国株式に資金を注込めと、トランプ大統領から安倍首相は申し渡されたのではあるまか。
影響は他の金融機関にも及ぶはず。銀行の預金払い戻し停止、保険金の減額や不払いなどなど、山一證券のような事態もあり得る?
決して忘れてはならない、東芝が辿った道、そして国富の流出。