日銀は昨年9月に長期金利を「0%程度」に抑える金融緩和を導入した際、金利が変動した場合に「指値オペ」などの国債買い入れ操作で制御できると自信を見せていた。
指値オペは、日銀が長期金利(新発10年物国債の利回り)を「0%程度」に誘導する手段として、昨年9月に新たに導入した公開市場操作(オペ)で、日銀の国債買い入れ価格を市場価格よりも高値を示すことで多くの国債を買うことができ、国債の流通量が減って国債価格が上昇(金利は低下)するので、日銀は金利調節の強力な手段と位置づけていた。
しかし、ここにきて2月10日の日米首脳会談を控え、長期金利の上昇圧力を押し止めることに苦悩し始めた。
先週金曜日の午前、東京債券市場はトランプ大統領が日本を「通貨安誘導」と批判する中、日銀が円安につながる長期金利の抑制を控えるとの思惑から長期金利が急上昇(国債価格は急落)した。
午後に入って、日銀が急遽「指値オペ」を実施したため長期金利が急落(国債価格は急上昇)し、市場は不安定さを増す結果となった。
ジェットコースター並みの長期金利の乱高下は、日銀による午前の国債買い入れ額が市場の失望を誘っての国債売り、驚いた日銀の午後の指値オペで動揺した市場が買い戻しに走ったためと思われる。
2度の国債買い入れに伴う長期金利の乱高下で東京市場は一時混乱し、日経平均株価や円相場も荒い値動きとなった。
◆長期金利の乱高下と言うが、ではどれ程だったのか?
金曜日午前、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは、前日終値比0.04%高い0.15%に急上昇。正午過ぎ、長期金利は0.09%まで急落。
庶民感覚からすれば、高々0.04%ごときで金利の乱高下と言うかとの気もするが、1000兆円を超える借金塗れの国とすれば、ただ事ではなく背筋の凍る思いだったのかもしれない。
これがきっかけで長期金利が上がり始めたら=インフレになり出したら、強権の国でさえ手の付けられない状況に追い込まれるのは、世界を見渡せば或いは歴史を顧みれば否定できない事実だからに相違ない。