今日、早朝の東京為替市場で「ポンド/米ドル」「ポンド/円」が大きな窓を開けて取引が始まり、米ドルを除くクロス円が大きく下落した。何のことはない、またもや「フレグジット」が大囃しされた格好だ。
昨日、メイ英首相が「移民流入抑制などのためなら、EU(欧州連合)単一市場からの撤退も」と、従来からの見解を繰り返し述べただけなのだが、英紙サンデー・タイムズのハードブレグジット報道を受け過剰に反応したようだ。
リスク回避の円買い圧力が強まったことで日経平均も大きく下落しており、豪く迷惑なことのようにも思える。更に、トランプ次期米大統領就任式での保護貿易主義、貿易不均衡是正などの表明懸念などが取り沙汰され、上値の重い展開が続いた。
何故ここまで英国のEU離脱に振り回されるのか? 最も利得しているのが英国自身だというのに。離脱決定(昨年6月24日)後のポンドと英国株価の推移を見れば、一目瞭然なのは言うまでもない。
見るべき視点は、輸出を促進する自国通貨安と株高。(ただ、日本の場合は円安になっても輸出は振るわないが、ドル建てベースの輸出なので受取代金を円換算すると収益が大幅増となり、株も連れ高となる)
例えば、ブログ「為替損益の静寂2」の「平成28年08月時点の英ポンド・米ドルチャート」と「平成28年08月時点の英ポンド・円チャート」、「平成29年01月時点のEU株式グラフ」を見れば分かるかも。
◆離脱決定後のポンド安は最大で、米ドルに対して凡そ15%、円に対して凡そ20%強に達した。
日本政府が円安を志向して、日銀の手足を縛り、アベノミクスで国民を欺き、官製相場で株高を演出し、財政破綻も顧みずにと涙ぐましい努力を続けても、その円安維持に四苦八苦しているのに比べたら豪い違いだと思う。
◆株価はどうかとFTSE100を見ると、離脱決定後の最安値から昨年末までに約20%弱の株価上昇を達成している。因みに、今年も7300を超えて上昇中。
株安やポンド高に直面したとき、英国政府の要人が「フレグジット」に触れるだけで投資家などの市場関係者が英国の望むような結果をお膳立てしてくれるなんて、なんて超ラッキーな選挙結果だったんだろうね。
実際にEUを離脱するときでも、英国自身はそんなに痛手を被らないと思うよ。対策は多分完璧、世界を裏で操る英国だから。