2月27日、ゴールドマン・サックス・グループの欧州金利市場戦略責任者を務めるベルンハルト・ジメルカ氏は、 「次回の不況で主に圧力がかかる相場はドル円だと強く思う」 「リーマンショック後に起きた展開を考慮すれば、次は円が過去最高値を更新する」 とシドニーの会議で語ったと、先月ブルームバーグ日本版が報じていた。
前回の「リーマン・ショック」後、米当局がFF政策金利を引き下げるQE(量的緩和)を導入すると円は大きく上昇し、2011年10月には戦後最高値となる1ドル75円35銭を付けた。
同氏は「米当局が利下げしQEをちらつかせるようになれば、日本の金融システムには人々が認識しているよりずっと多くのマイナス面と資金面でのストレスが生じるだろう」とし、「1ドル60円まで行く」と予想。
◆QEの実施状況
・米国は2014年10月にQEを終了し、2015年12月からは利上げを開始。更にバランスシートの縮小に足を踏み込んだ。
・EUは昨年末にQE終了を決定。
・日本は形振り構わず頑なに異次元QEを堅持=輪転機を大回転させ円札を大増刷=膨大な通貨発行量。
通貨発行量からすれば、為替相場には相当量の円安圧力が掛かっているはずなのだが、思いの外(何故か)円安には振れていない。
◆邦銀の海外融資に対するドル資産リスク
一部の邦銀は国内の低リターンに強いられて、海外債券を大量に保有している。 モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏が纏めたデータによると、ゆうちょ銀行や農林中金が、そのような資産を数千億ドル相当抱えている。
日本の当局は自国の金融機関の資本水準は堅固だとしているが、ジメルカ氏の計算は危機時に円が急騰し海外資産の価値が下がれば、そうではなくなる可能性を示唆する。
★米国がQE4を行わざるを得ない状況に陥った(金融危機再来)時、超円高に振れるのかどうかは神のみぞ知る???
ブルームバーグ記事「ゴールドマンのストラテジスト、次の危機で1ドル=60円の円高を予想」
原題:Goldman Strategist Sees Yen Hitting 60 to Dollar Next Crisis