従来、世の中の景気が悪化し不況に突入すると(各国の)中央銀行は、世間の金回りを良くして企業間の取引を活発にするために金利を下げ、世の中のお金の量(マネーストック)が増えるように金融緩和政策を取ってきた。
◆FRB(米連邦準備制度理事会)の非伝統的政策、量的金融緩和政策-QE:Quantitative Easing
リーマンショック後の米国では金利をほぼゼロに近い状態まで下げてしまっていたため、これ以上金利を下げることが出来ずに非伝統的方法として、(金利の引き下げではなく)市中銀行が保有するFRBの当座預金残高量を拡大させる金融政策に手を出した。
それが2008年9月のリーマンショックを契機として実施された、QEと呼ばれる非伝統的量的金融緩和政策だ。
当時のFRBは深刻な景気後退への対策として巨額の資金を市中に供給するため、米国債やMBS(住宅ローン担保証券)等を大量に購入して市中に資金を大量供給した結果、財務状態を表すバランスシートが急膨張してしまた。
◆FRBの量的金融引締政策-QT:Quantitative tightening
景気が上向いたように見えたとしても、QEをいつまでも続けることは出来ない。経済活動(企業や国民生活)に甚大な損害を与えることになる可能性が潜んでいるからだ。
だから無作為の罪を罰せられる米国では、QTと呼ばれる量的金融引締政策が実施された。
出来事 | バランスシート | 損益 | |
---|---|---|---|
2008年 | リーマンショック以前 | 約0.9兆ドル | - |
2008年11月 | 量的金融緩和を開始 | - | - |
2014年10月 | 量的金融緩和の終了 | 約4.5兆ドル | 含み益 |
2015年12月 | 量的金融引締を開始 | - | 含み益? |
2017年10月 | バランスシート縮小を開始 | 約4.2兆ドル | 含み益? |
2018年09月 | 含み損の確定 | 約4.1兆ドル | 含み損 |
2019年12月 | 実損の見込み | 約3.7兆ドル | 含み損拡大 |
バンバン金融緩和を行って株価や債券の価格が上昇し、FRB(中央銀行)のバランスシートに保有証券の含み益が計上されている内は良かったのだが、一旦金融引締め政策が実行されるや株価や債券が下落して、バランスシート上の保有証券に含み損が発生し、債務超過に陥っていることが判明したのだ。
2018年9月時点の「含み損」665億ドル、「純資産」391億ドル。
◆日本銀行のバランスシートは現時点でも目を覆うばかり
日銀のバランスシートは11月時点で553.6兆円となり、本年度第1四半期のGDP(名目国内総生産)552.8兆円を上回った。返済する当ての無い借金は膨れ上がる一方だ。
本当に日銀のインフレ目標2%に近付いた場合、金利急上昇に伴い日本国債は急落、東京株式市場も暴落する事だろう。それは可能性などと言う生半可なものではなく、米国の状況を遥かに超えた大惨事となる事は火を見るよりも明らかかも?
日本銀行が債務超過を越えて、破産に陥らない事だけは祈りたい!
★経済学に疎いので、「縮小の終盤FRBのバランスシート:それを決するがFRBの債務である可能性」(https://www.cmegroup.com/ja/education/featured-reports/the-end-game-for-shrinking-the-feds-balance-sheet.html)の内容を良く理解出来なかったが、米国だけでなく日本も危機に陥りそうだという事は十分感じられた。