2020年6月アーカイブ

先週、S&Pが財務の健全性に疑義が生じたとして、現在の長期格付け「BB+、ネガティブ」のソフトバンクGについて下方圧力が継続するとの見解を示したと、ロイターが報じていた。

既に投資不適格の烙印を押されているソフトバンクG、今更格下げされたところで何も変わらないよ、と嘯く奴等が居たりもするが。
自社株買いをするために資産売却に走り、株価を強引に吊り上げたとしても膨大な負債の削減に繋げられるかは不透明で、相場の再下落などで資産価値が大幅に下落するような事があれば、財務の健全性を維持出来なくなる恐れが無きにしも非ず。

それよりも世界相場の再暴落で恐ろしいのは、CLO御三家の「農林中金」「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「ゆうちょ銀行」かもしれない。

CLOはローン担保証券の略だが、複数の企業向け融資(ローン)債券を束ね、その元本・利子を裏付け資産として発行した証券。主に米国の金融機関が米国企業への低格付け債券を掻き集めて組成される。

何故なら金融機関は信用力が低い企業の債権を売却することが困難で、証券化、然も高格付けに(サブプライムローンの末路に瓜二つ?)することで買い手を見つけ易くする狙いがあるらしい。

ただ、CLOへの投資は高利回りが期待できる半面、企業の返済が滞ると多大な損失を被る恐れがある(正しくサブプラだね)。


◆日本の大手金融機関がCLOへの投資を急増

昨年10月、日本の大手金融機関がCLOへの投資を急増させていることに危機感を募らせた日銀は「金融システムリポート」の中で、巨額の資金を投入している3社を含めて警告を発した。

・農林中央金庫(農林中金)が7兆9000億円
・三菱UFJフィナンシャル・グループが2兆4733億円
・ゆうちょ銀行が1兆5241億円

日本の銀行が保有するCLOは世界全体の約15%(約12兆7000億円)に達し、上記3社で国内残高の大半を占める。日銀のリポートではリーマン・ショックの様な事態になれば、米国企業の破綻などでCLOの価格は2~3割程度下落する可能性があると分析し、日本の金融機関も大規模な損失を被りかねないと警鐘を鳴らしていた。

★確か、当時CLOの利回りが低下し、ゆうちょ銀は340億円の含み損を抱え込んでいたはず。
★今年3月期CLO決算で、農林中金は4000億円超の評価損を計上。

三大格付け会社のフィッチ・レーティングスは、日本の大手銀行の格付けを軒並み格下げしたし。
コロナ過での4000億円超の評価損を抱えた農林中金だって、感染拡大の「第2波」や市場の「2番底」だって間近に迫って来ているかも知れないし・・・。


◆本来の自社株買いは 余剰利益による株主還元策?

元々日本では自社株買いは原則禁止とされていたが、(1994年、2001年の法改正によって)買付時などの一定の条件を満たせば、金庫株として保有することが認められた。

現状のソフトバンクGが行っている自社株買いは、株価維持策だけの買支えであろう。

ブルームバーグによれば、ソフトバンクGは3月、4.5兆円の資産売却を通じて資金を調達し、計2.5兆円を自社株買いや債務圧縮、手元資金に充てる方針を示し、5月には追加で5000億円を上限にした自社株買いを行うとも発表していたが、6/15、5000億円の自社株買いが上限に達した模様。

更に、保有する米携帯電話サービス大手TモバイルUS株式を活用した潜在的取引の検討を開始したと発表した。早速、野村証券は15日付のリポートで「大規模な自己株式取得が資産価値に対する株価ディスカウントを縮小させる」との見方を示し、投資判断「買い」を維持した。

★余剰利益による自社株買いならいざ知らず、一心不乱に、資金調達と株価維持を目指すとは如何なる仕儀か。

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